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新潟地方裁判所 昭和56年(行ウ)3号 判決 1987年3月31日

新潟県南魚沼郡六日町大字六日町二一一六番地

原告

岡村秀太郎

右訴訟代理人弁護士

荒井尚男

新潟県小千谷市東大通

被告

小千谷税務署長

廣井勝衛

右指定代理人

細田美知子

竹野清一

青木清榮

辻徹

星野一雄

清水利雄

矢亀勲

若井正之

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  被告が昭和五三年二月二日付けでした原告の昭和四七年分所得税の更正(税額一〇六万二一〇〇円)のうち税額七三万三〇〇〇円を超える部分及び重加算税賦課決定(税額八万一六〇〇円)を取り消す。

2  被告が昭和五三年七月三日付けでした原告の昭和四八年分所得税の更正(税額七四〇万三二〇〇円)のうち税額六五万七一〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定(税額六一〇〇円)及び重加算税賦課決定(税額一九八万六九〇〇円)を取り消す。

3  被告が昭和五三年七月三日付けでした原告の昭和四九年分所得税の更正(税額一二二万三一〇〇円)のうち税額四七万二九〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定(税額一万四九〇〇円)及び重加算税賦課決定(税額一三万五〇〇〇円)を取り消す。

4  被告が昭和五三年七月三日付けでした原告の昭和五〇年分所得税の更正(税額五七三万四五〇〇円)のうち税額一七〇万七一〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定(税額四万七二〇〇円)及び重加算税賦課決定(税額九二万四六〇〇円)を取り消す。

5  被告が昭和五三年七月三日付けでした原告の昭和五一年分所得税の更正(税額六二二万七一〇〇円)のうち税額二一一万八一〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定(税額四万〇六〇〇円)及び重加算税賦課決定(税額九八万八五〇〇円)を取り消す。

6  被告が昭和五四年六月二日付けでした原告の昭和五二年分所得税の更正(税額四四万二六〇〇円及び特別減税額マイナス二万一〇〇〇円)のうち税額マイナス四万四四〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(税額二万三三〇〇円)を取り消す。

7  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  本件各処分の経緯

原告は貸金、すし店及び浴場業を営むものであるが、昭和四七年分ないし昭和五二年分(以下「本件係争年分」ともいう。)の所得税について、原告のした青色申告書以外の申告書による確定申告(昭和四七年分については修正申告を含む。)、これに対する被告の各更正(昭和四七年分については再更正を含む。以下「本件各更正」という。)並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定(以下「本件各決定」という。)、これに対する原告の異議申立、これに対する被告の異議決定、これに対する原告の審査請求、これに対する国税不服審判所長の審査裁決の経過は、別表A記載のとおりである。

2  本件各処分の違法性

しかし、被告がした本件各更正のうち原告がした各確定申告に係る所得金額を超える部分は、いずれも原告の所得を過大に認定したものであるから違法であり、したがってまた本件各更正を前提としてされた本件各決定も違法である。

3  よって、請求の趣旨1項ないし6項記載のとおり本件各更正及び本件各決定の取消を求める。

二  請求の原因に対する認否

請求の原因1項の事実は認めるが、同2項の主張は争う。

三  被告の主張

1  本件各更正の適法性

(一) 所得の一部についての推計課税の必要性

被告は原告の確定申告についてその内容を審査したところ、原告の営業規模からみて昭和四七年分ないし昭和五一年分の申告所得金額が過少であり、貸金業収入及び利子収入に申告漏れがあると認められたことから、昭和五二年一〇月七日被告の担当係官をして右各年分の原告の所得について調査を行わせた。その結果、原告はすし店及び浴場業の収支に関する帳簿を提示したが、それ以外の収入は全くない旨申し立て、貸金業に関する帳簿資料の提示をしなかった。

その後、被告は原告の取引銀行の調査及び借受人の反面調査を実施したところ、原告は昭和四〇年八月一六日に貸金業の届出を新潟県知事に対し行い、昭和四七年以前から貸金業務を反復継続して営んでいること、原告は貸付にあたり借受人に対し、a貸付人である原告の名前を出さないこと、b万一当該貸付行為が税務署等に知られた場合には貸付利率はあくまで銀行利息程度である旨返答すること、c元金の返済額及び利息の支払額についての領収書及び利息計算書は一切発行しないことを条件としていたことが判明し、事業所得や雑所得の金額の一部について事実を隠ぺい、仮装して右各年分の所得税の確定申告をしたことが認められた。

そこで、被告の担当係官は昭和五二年一二月八日から昭和五三年六月三〇日までの間、原告に対し再三にわたり貸金等の明細を明らかにするよう求めたが、原告は右各年分に係る具体的な貸金等による収入金額、経費の明細を明らかにせず、またそれに関する帳簿資料の提示をしなかった。

被告は、以上の状況から原告の貸金等の収入について帳簿等に基づいた実額による所得の算定は不可能であると判断し、所得税法一五六条の規定により右各年分の所得のうち、事業所得、利子所得及び雑所得につき推計による算定を行った。

(二) 各年分の所得金額

(1) 昭和四七年分

ア 事業所得金額 三九八万三九九四円

(ア) すし店及び浴場業の事業所得金額 四五万円

確定申告と同額である。

(イ) 貸金業の事業所得金額 三五三万三九九四円

算出根拠は別表C―Ⅰの一〔昭和四七年分〕記載のとおりである。

イ 不動産所得金額 三九六万円

確定申告額と同額である。

ウ 利子所得金額 三万九六四六円

第四銀行六日町支店(以下会社名等は別表C―Ⅰ及び別表Dの略称の仕方によることもある。)からの定期預金(定期預金番号七七八五)利子の収入金額である。

エ 配当所得金額 五万円

確定申告額と同じである。

オ 給与所得金額 六九万六〇〇〇円

確定申告額と同額である。

カ 分離短期譲渡所得金額 一七万五〇〇〇円

確定申告額と同額である。

(2) 昭和四八年分

ア 事業所得金額 一九二万〇六四九円

(ア) すし店及び浴場業の事業所得金額 一三万円

確定申告額と同額である。

(イ) 貸金業の事業所得金額 一七九万〇六四九円

算出根拠は別表C―Ⅱの二〔昭和四八年分〕記載のとおりである。

イ 不動産所得金額 四一一万二〇〇〇円

確定申告額と同額である。

ウ 配当所得金額 五万七六〇〇円

確定申告額と同額である。

エ 給与所得金額 八三万九一五〇円

確定申告額と同額である。

オ 雑所得金額 一三〇一万円

算出根拠は別表Dの一〔昭和四八年分〕記載のとおりである。

(3) 昭和四九年分

ア 事業所得金額 一一一万一二二一円

(ア) すし店及び浴場業の事業所得金額 三〇万円

確定申告額と同額である。

(イ) 貸金業の事業所得金額 七九万一二一二円

算出根拠は別表C―Ⅰの三〔昭和四九年分〕記載のとおりである。

イ 不動産所得金額 四四七万六〇〇〇円

確定申告額と同額である。

ウ 利子所得金額 六万一四三四円

第四銀行六日町支店からの定期預金(定期預金番号一三三九、八八八八)利子の収入金額である。

エ 配当所得金額 一万四三五〇円

確定申告額と同額である。

オ 給与所得金額 一一六万二五〇〇円

確定申告額と同額である。

カ 雑所得金額 二一〇万六五二五円

算出根拠は別表Dの二〔昭和四九年分〕記載のとおりである。

(4) 昭和五〇年分

ア 事業所得金額 七二九万九六五三円

(ア) すし店及び浴場業の事業所得金額 一〇〇万円

確定申告額と同額である。

(イ) 貸金業の事業所得金額 六二九万九六五三円

算出根拠は別表C―Ⅰの四〔昭和五〇年分〕記載のとおりである。

イ 不動産所得金額 六二九万七五九〇円

確定申告額に申告漏れのあった長岡ハワイ観光株式会社に対する昭和五〇年七月分の家賃一〇万円を加算したものである。

ウ 利子所得金額 六万五五六七円

第四銀行六日町支店からの定期預金(定期預金番号五一〇、四五二)利子の収入金額である。

エ 配当所得金額 二万七〇〇〇円

確定申告額と同額である。

オ 給与所得金額 二九一万円

確定申告額と同額である。

カ 雑所得金額 七〇〇万八四〇〇円

算出根拠は別表Dの三〔昭和五〇年分〕記載のとおりである。

キ 分離短期譲渡所得金額 三万円

確定申告額と同額である。

(5) 昭和五一年分

ア 事業所得金額 九八三万一〇五五円

(ア) すし店及び浴場業の事業所得金額 四一万四七九八円

収入金額一二九一万六七一八円から必要経費一二五〇万一九二〇円を差し引いたものである。

(イ) 貸金業の事業所得金額 九四一万六二五七円

算出根拠は別表C―Ⅰの五〔昭和五一年分〕記載のとおりである。

イ 不動産所得金額 九一九万四五一一円

確定申告額に申告漏れのあった長岡ハワイ観光株式会社に対する保証金二〇万円を加算したものである。

ウ 利子所得金額 九万二六三六円

第四銀行六日町支店からの定期預金(定期預金番号七五〇〇二三八、七五〇一四二八、七五〇一五五五、四五二)利子の収入金額である。

エ 給与所得金額 二五五万円

確定申告額と同額である。

オ 雑所得金額 三一二万八三〇〇円

算出根拠は別表Dの四〔昭和五一年分〕記載のとおりである。

(6) 昭和五二年分

ア 事業所得金額 一六九万九六七二円

(ア) すし店の事業所得金額 六一万九二〇二円

確定申告額と同額である。

(イ) 浴場業の事業所得金額

マイナス一一一万一五九八円

確定申告額と同額である。

(ウ) 貸金業の事業所得金額 二一九万二〇六八円

算出根拠は別表C―Ⅰの六〔昭和五二年分〕記載のとおりである。

イ 不動産所得の金額 六九一万四〇一三円

確定申告額に申告漏れのあった岡村興産株式会社に対する地代収入一〇万円を加算したものである。

ウ 利子所得金額 六万一〇八七円

第四銀行六日町支店からの定期預金(定期預金番号四五二)利子の収入金額である。

エ 給与所得金額 一八一万円

確定申告額と同額である。

オ 分離長期譲渡所得金額 四〇〇万円

算出根拠は別表E記載のとおりである。

(7) まとめ

以上のとおり、原告の昭和四七年分ないし昭和五一年分の総合課税による総所得金額及び分離短期譲渡所得金額は別表B―Ⅰ記載のとおりであり、右各年分の本件各更正はいずれもその範囲内でなされたものである。

昭和五二年分については、総合課税による総所得金額及び分離長期譲渡所得金額は別表B―Ⅱ記載の通りであるが、総合課税による総所得金額につき原告の確定申告額五〇万九〇四七円を基礎として所得税を算出しても別表F記載のとおりであり、また総合課税による総所得金額だけをとっても右所得額を上回るものであるから、いずれにしても同年分の本件更正はその範囲内でなされたものである。

(三) 昭和四七年分ないし昭和四九年分の本件各更正について

原告は昭和四七年分ないし昭和四九年分の各所得税確定申告において、前項記載のとおりの所得があるにもかかわらず、(一)項記載のとおり右各年分の所得税の賦課に対して真実の所得を秘匿し、それが課税対象となることを回避するため所得の金額をことさら過少にした内容虚偽の確定申告書を提出したもので、正当な納税義務を過少にして、その不足税額を免れる行為をしたものである。右は税額を免れる意図のもとに税の賦課徴収を不可能又は著しく困難にする工作的不正行為であるから、国税通則法七〇条二項の適用を受け、右各年分の所得税の更正は右規定の定める五年の除斥期間内に行えば足りるものであるところ、被告は右各年分の本件各更正をいずれも法定申告期限から五年内に行った。

2  本件各決定の適法性

(一) 重加算税賦課決定について

(1) 事業所得(貸金業)に係る申告漏れ所得に対する重加算税賦課決定の根拠

原告は、被告の主張1項一記載のとおり、貸金業に係る事業所得の金額計算の基礎となる事実について隠ぺい、仮装し、その隠ぺい、仮装したところに基づいて昭和四七年分ないし昭和五一年分の所得税の確定申告をした。

(2) 雑所得に係る申告漏れ所得に対する重加算税賦課決定の根拠

ア 昭和四八年分について

原告は、昭和四八年一〇月二〇日鉄建工機から二九四〇万円で購入した気工社製砂利砕石プラントを、同年五月二八日大和建材へ四二〇〇万円で売却し、その売却益一二六〇万円を得ていたにもかかわらず、右売却代金の一部一七〇〇万円について回収不能があったかのように仮装し、これを控除すれば所得はなかったとして昭和四八年分の雑所得金額(右売却益)を秘し、その計算の基礎となる事実を隠ぺい、仮装し、その隠ぺい、仮装したところに基づいて確定申告をした。

イ 昭和四九年分ないし昭和五一年分について

原告は昭和四九年分ないし昭和五一年分において、佐野生コン及び条栄商事から原告の要求に基づき支払われた骨材販売のあっせん手数料を得ていたものであるが、右手数料の取得を隠ぺいする目的で契約書は作成しないことにし、また右手数料を殊更遠隔地である第一勧業銀行田無支店、後に平和相互銀行田無支店の原告名義の預金口座へ、送金者名義を佐野生コン若しくは条栄商事ではなく原告名義で振り込ませ、あたかも原告が自己の金員を右銀行に送金したように仮装し、右各年分の雑所得金額を秘し、その計算の基礎となる事実を隠ぺい、仮装し、その隠ぺい、仮装したところに基づいて確定申告をした。

(3) 重加算税の賦課決定

以上のことからすると、原告の昭和四七年分ないし昭和五一年分の重加算税の対象となる所得金額は別表Gの一ないし五記載のとおりであるので、被告は国税通則法六八条一項に基づき、別表Hの一ないし五記載のとおり右各年分の課税所得金額のうち隠ぺい、仮装に係る所得金額に対応する納付すべき所得税額に、別表I記載のとおり一〇〇分の三〇の割合を乗じて計算した重加算税の賦課決定をした。

(二) 過少申告加算税賦課決定について

本件各更正により納付すべき本件係争年分の所得税額(但し昭和四七年分ないし昭和五一年分については重加算税の基礎となる税額を控除する。以下同じ。)の各計算の基礎となった事実のうちには、いずれの年分においても国税通則法六五条二項に規定する「正当な理由」がなかったので、被告は同条一項に基づき、昭和四七年分ないし昭和五一年分については別表J記載のとおり、昭和五二年分については別表F記載のとおり、本件各更正により納付すべき本件係争年分の各所得税額にそれぞれ一〇〇分の五の割合を乗じて計算した過少申告加算税の賦課決定をした。

四  被告の主張に対する原告の認否及び反論

1  被告の主張1項について

(一) 同項(一)のうち、原告が昭和四〇年八月一六日に貸金業の届出を新潟県知事に対し行っていること、被告が昭和五二年一〇月七日被告の担当係官をして昭和四七年分から昭和五一年分の原告の所得について調査を行わせたこと、その際、原告はすし店及び浴場業の収支に関する帳簿を提示したが、それ以外の収入は全くない旨申し立て、貸金業に関する帳簿資料の提示をしなかったこと、原告はその後に被告が行った所得調査に対しても、右各年分に係る具体的な貸金業等による収入金額、経費の明細を明らかにせず、それに関する帳簿資料の提示をしなかったことは認めるが、その余の事実は否認し、右各年分の所得のうち事業所得、利子所得及び雑所得についての推計課税の必要性を争う。

(二) 同項(二)について

(1) (1)昭和四七年分について

ア ア(ア)の事実は認める。

ア(イ)のうち、同年度の一般経費率の割合が八・二五パーセントであること、特別経費の額が四六万六三七九円であることは認めるが、その余の事実は否認する。

(反論)

原告が昭和四七年ないし昭和五一年に行った貸付の相手方は主として米山寿太郎、米山嘉繁、大和建材及び小杉信治をグループとしたもの並びに大津幸一及び大津建設グループとしたものであるが、右の者らはいずれも原告と経済的に密接な関係を有していたのであり、原告は資金援助を懇請され、やむを得ず日歩三銭ないし五銭の割合の利息で貸付を行っていたものである。ところが、右の者らは原告に貸金債務を返済せず、原告から担保物件に対する不動産競売の申立や貸金(手形金)請求訴訟を提起されると、原告が利息制限法に違反する高利で貸付を行っていたと主張して返済義務を争い、また被告に対して原告が脱税している旨虚偽の事実を申し立てたことから、これに基づき被告の所得調査が行われたのである。右の者らはいずれも昭和四九年一〇月までに倒産し、経済的信用の全くない者であることからすると、右の者らの言も信用できないものであることは明白であり、右の者らの提出した帳簿類を基礎にして原告の所得額を推計することはその方法に合理性がないものである。

なお原告の貸付は手形割引による方法であり、貸付の都度借用証書の代わりに割引手形を受領しているので、右手形によって貸付金額を明らかにし得るものであるから、帳簿を備える必要がなかったのである。

原告が所持する別紙手形目録記載の約束手形が不渡りとなり、その振出人及び裏書人とも倒産し、これらの者から右手形金を回収することが不能となったので、昭和四七年分における原告の所得に関して右手形金額三〇万円は損失として控除されるべきである。

(右反論に対する被告の再反論)

原告主張の別紙手形目録記載の約束手形は、大津建設又は大和建材との関係が明らかでないから、仮に右手形が不渡りになっていたとしても、これを貸倒損失とすることはできない。

イ イないしカの事実は認める。

(2) (2)昭和四八年分について

ア ア(ア)の事実は認める。

ア(イ)のうち、同年度の一般経費率の割合が九・一四パーセントであること、特別経費の額が七七万三四〇〇円であることは認めるが、その余の事実は否認する。

イ イないしエの事実は認める。

ウ オのうち、必要経費の額が二九四〇万円であることは認めるが、その余の事実は否認する。

(反論)

砂利砕石プラントのリース料四二〇〇万円について原告は大和建材振出の割賦払手形を支払のために受領したが、そのうち決済されたのは二五〇〇万円に過ぎず、一七〇〇万円が回収不能となったのであるから、購入代金と決済代金との差額四四〇万円の損失が生じている。

なお原告は事業として砂利砕石プラントのリースを行ったものであるから、これから生じた所得は雑所得ではなく、事業所得となるものである。したがって、右回収不能金一七〇〇万円及び損失四四〇万円は、昭和四八年度の事業所得において控除されるべきものである。

(右反論に対する被告の再反論)

原告は昭和四八年一〇月九日に大和建材から砂利砕石プラントのリース料として振出人米山寿太郎、支払場所新潟県信用組合六日町支店、手形金額一〇〇万円とした上、毎月二〇〇万円ずつ支払期日が到来する約束手形五二枚を受領した(なおこのうち一〇〇〇万円が後に値引きされている)。そして大和建材は同年から昭和五〇年一月までの間佐野生コンに対し、同年一一月から昭和五一年八月までの間条栄商事に対し、それぞれ骨材を納入していたところ、右約束手形を決済するため、原告の要請により右取引に係る骨材販売代金を原告の新潟県信用組合六日町支店の普通預金口座(口座番号三七三四)へ振込入金する方法をとり、これにより右約束手形の決済を行ったものであり、右約束手形は全部決済されている。

なお原告は砂利砕石プラントを大和建材にリースし、大和建材からリース料を受領したという形をとっているが、右は実質的には砂利砕石プラントの売買であるから、これによる所得は事業所得ではなく雑所得である。

(3) (3)昭和四九年分について

ア ア(ア)の事実は認める。

ア(イ)のうち、同年度の一般経費率の割合が一一・七パーセントであること、特別経費の額が三一〇万四〇一一円であることは認めるが、その余の事実は否認する。

(反論)

大津建設は昭和四八年一〇月末頃倒産しており、原告はそれ以降大津建設に対し一切貸付を行っていないのであるから、昭和四九年分の所得に関して大津建設から受取利子割引料を取得することはあり得ない。

(右反論に対する被告の再反論)

原告の貸金業における貸付方法は手形貸付及び手形割引による方法であり、受取利子割引料は貸付の際に手形の支払期日までの分を前受けして収受していたものである。昭和四八年中に行った手形貸付又は手形割引において手形の支払期日が昭和四九年以降のものについては、所得金額の計算上その収受した金額を昭和四八年に対応する分と昭和四九年以降の各年に対応する分とに区分(日割計算)することになるから、原告が昭和四九年中に大津建設から受取利子割引料を受け取っていないとしても、同年分の収入金額として算出される受取利子割引料が生じることになるのである。

イ イないしオの事実は認める。

ウ カのうち、別表Dの二<1>a及びbの事実は認めるが、その余の事実は否認する。

(反論)

川上リースからあっせん手数料の支払のために受領した手形は不渡りとなり、現実の収入がなく同額の損失が生じている。また、別表Dの二<1>a及びb記載の受領ずみあっせん手数料は原告の事業に係るものであるから雑所得ではなく事業所得であり、これと(2)ウで主張した砂利砕石プラントのリース料の損失と通算すると、所得が発生していない。

(右反論に対する被告の再反論)

所得金額の損益通算は同一年分の各種所得金額間で計算するものであり、かつ雑所得の損失については他の種類の所得金額との間で損益通算はできない(所得税法六九条)。更に各種所得金額間で損益通算してなお控除しきれない損失がある場合には純損失の金額(同法二条一項二五号)となるが、この金額を翌年度以降において繰越控除できるのは、青色申告書を提出している年でない場合には変動所得の金額の計算上生じた損失の金額等があるときに限られている(同法七〇条二項)。しかるに原告には本件係争年分において純損失の金額が生じていないのであるから、原告の損益通算に関する右主張は失当である。

(4) (4)昭和五〇年分について

ア ア(ア)の事実は認める。

ア(イ)のうち、同年度の一般経費率の割合が九・三七パーセントであること、特別経費の額が二二七万四九九〇円であることは認めるが、その余の事実は否認する。

イ イないしオの事実は認める。

ウ カのうち、別表Dの三<1>b及びcの事実は認めるが、その余の事実は否認する。

(反論)

鉄建工機は大和建材に対し、昭和五〇年六月インパクトブレーカーを一二八四万五〇〇〇円で売り渡し、原告は大和建材の右売買代金債務につき連帯保証(手形裏書)したものであるが、原告は鉄建工機から手形の裏書人として手形訴訟を提起され、五三〇万円及びこれに附帯する遅延損害金を支払い、右手形の返還を受けて所持している。右手形は大和建材の倒産により回収不能となり、原告には右同額の損失が生じた。そして右損失及び(2)ウで主張した砂利砕石プラントのリース料の損失と別紙Dの三<1>b及びc記載の収入とを損益通算すると、原告の所得は発生しない。

(右反論に対する被告の再反論)

損益通算の主張については(3)ウの被告の再反論を援用する。

大和建材は昭和五三年六月まで営業していたのであるから、原告主張の手形が不渡りになったとしても、本件係争年分中における原告の所得金額の計算上貸倒損失は発生しない。

エ キの事実は認める。

(5) (5)昭和五一年分について

ア ア(ア)の事実は認める。

ア(イ)のうち、同年度の一般経費率の割合が一〇・〇二パーセントであること、特別経費の額が三二二万三五八五円であること、別表K―Ⅰの順号六二に関する注(1)のうち原告が大和建材の同和商事に対する借入金債務五四〇万円を立替払いしたこと、同表の順号六三に関する注(2)のうち米山寿太郎及び大和建材が昭和五一年九月頃条栄商事から一五〇〇万円の融資を受け、同年一〇月頃その内から原告に対し原告からの借入金の一部を返済したことは認めるが、その余の事実は否認する。

イ イないしエの事実は認める。

ウ オのうち、別表Dの四aないしcの事実は認めるが、その余の事実は否認する。

(反論)

別表Dの四aに記載のある原石採取料一〇〇万円の支払として原告が受領した手形は不渡りとなり、これに関する所得は発生していない。仮に右手形が別の手形に書き換えられたとしても、その手形の回収が不能であるから、原告には結局一〇〇万円の損失が生じており、これと通算すると所得は発生しない。

同表四bの骨材納入取引あっせん手数料及び同表四cのパワーシャベル賃貸料は、(2)のウで主張した砂利砕石プラントのリース料の損失と通算すると所得は発生しない。

(右反論に対する被告の再反論)

原告は、昭和五一年九月五日に大和建材から原石採取料として振出人小杉信治、裏書人米山寿太郎、手形金額一〇〇万円、支払期日昭和五二年一月一八日の約束手形を受領し、右手形は後に別の手形に書き換えられて決済されている。

損益通算の主張については、(3)ウの被告の再反論を援用する。

(6) (6)昭和五二年分について

ア ア(ア)の事実は認める。

ア(イ)の事実は認める。

ア(ウ)のうち、同年度の一般経費率の割合が九・六九パーセントであること、特別経費の額が一一六万二七三六円であることは認めるが、その余の事実は否認する。

イ イないしエの事実は認める。

ウ オのうち、譲渡所得金額が四〇〇万円であることは否認する(後記五で主張するとおり)が、その余の事実は認める。

(三) 同項(三)のうち、被告が昭和四七年分ないし昭和四九年分の本件各更正を法定申告期限から五年内に行ったことは認めるが、その余の事実は否認し、右各年分の本件各更正について国税通則法七〇条二項の適用がある旨の主張は争う。

被告の更正にかかる右各年分の貸金業の事業所得、利子所得及び雑所得はいずれも発生しておらず、したがって原告は確定申告をしなかったものであり、右確定申告について偽りその他不正の行為はない。そうすると右各年分の更正については国税通則法七〇条一項が適用され、法定申告期限から三年の除斥期間の制限があるところ、右各年分の本件各更正は右除斥期間経過後に行われたものであるから不適法である。

2  2項について

(一) 同項(一)の(1)及び(2)の事実は否認し、(3)の重加算税賦課決定の適法性を争う。

(反論)

右1での原告の主張のとおり、被告の推計に係る昭和四七年分ないし昭和五一年分の事業所得、利子所得及び雑所得は発生していないのであるから、原告は確定申告しなかったまでのことである。また原告は、佐野生コン及び条栄商事から受領した骨材販売取引あっせん手数料については受領証を発行しており、被告主張の送金方法をとったのは、当時原告の先妻久川トヨ及び長女知栄子、長男秀一郎、二男秀二郎、二女俊子、三男博が原告と別居し、東京都田無市に居住していたことから、原告が同人らの生活費として被告主張の原告名義の預金口座に振り込んだものであるに過ぎず、原告が所得の計算の基礎となる事実を隠ぺい、仮装するために行ったものではない。

(二) 同項(二)の過少申告加算税賦課決定の適法性を争う。

(反論)

右1での原告の主張のとおり、被告の推計に係る昭和四七年分ないし昭和五一年分の事業所得、利子所得及び雑所得は発生していないものであるから、原告が確定申告をしなかったことにつき正当な理由がある。

五  原告の主張(昭和五二年分の分離長期譲渡所得について)

1  原告は、昭和五〇年五月、大和建材が鉄建工機からインパクトブレーカーを買い入れるに際し、大和建材の売買代金債務につき連帯保証した。

2  原告は、昭和五二年一一月一八日魚沼廃棄物興産株式会社に売り渡した別表E記載の土地四筆の譲渡代金七〇〇万円から、前項の大和建材の売買代金債務の保証債務の履行として五七五万円(元金五三〇万円、利息四五万円の合計額)を鉄建工機に支払った。

3  大和建材はその後倒産し、原告の大和建材に対する求償権の行使は不可能になり、求償債権の回収は不能である。

4  したがって右の五七五万円について所得税法六四条二項の適用があり、昭和五二年分の分離長期譲渡所得の計算上右五七五万円を控除すると所得は発生しない。

六  原告の主張に対する被告の認否

1  原告の主張1項の事実は否認する。

2  同2項のうち、原告が鉄建工機に対し五七五万円を支払ったことは認めるが、その余の事実は否認する。

原告が鉄建工機に対し支払った右金員は、原告の鉄建工機に対して負担していたインパクトブレーカーの売買代金債務の一部である。

3  同3項の事実は否認する。

4  同4項の主張は争う。

第三証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  本件各処分の経緯について

請求の原因1項の事実は当事者間に争いがない。

二  昭和四七年分ないし昭和五一年分の本件各更正の適法性について

1  原被告間に争いのない所得金額

被告の主張1項(二)(1)ないし(5)の事実(昭和四八年分ないし昭和五一年分の各所得金額)は、右各年分の各貸金業の事業所得金額及び昭和四八年分ないし昭和五一年分の各雑所得金額を除き、当事者間に争いがない。

2  推計課税の必要性

(一)  被告が、昭和五二年一〇月七日、担当係官によって原告の昭和四七年分ないし昭和五一年分の所得について調査を行ったこと、その際原告はすし店及び浴場業の収支に関する帳簿を提示したが、それ以外の収入は全くない旨申し立て、貸金業に関する帳簿資料の提示をしなかったこと、原告はその後に被告が行った所得調査に対しても、右各年分に係る具体的な貸金業等による収入金額、経費の明細を明らかにせず、それに関する帳簿資料の提示をしなかったこと、原告は昭和四〇年八月一六日に貸金業の届出を新潟県知事に対し行ったこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

(二)  成立に争いのない乙第一八号証、原告本人尋問の結果によりいずれも原本の存在及び成立の真正が認められる甲第六二号証、同第六三号証(但し、同号証の官署作成部分の原本の存在及び成立は当事者間に争いがない。)、証人矢亀勲の証言により真正に成立したものと認められる乙第二九号証の一により真正に成立したものと認められる乙第九号証、証人米山寿太郎(第一回)及び同大塚安夫の各証言により真正に成立したものと認められる乙第一三号証、証人渡辺克己の証言によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第一四号証、同第三〇号証、同第三七号証の一・二、証人大塚安夫の証言により真正に成立したものと認められる乙第一七号証、証人米山寿太郎(第一回)及び同渡辺克己の各証言、原告本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、以下(1)ないし(5)の事実が認められる。

(1) 原告は本件各係争年分頃はすし店及び公衆浴場を経営していたほか、不動産貸付業及び貸金業を営んでおり、また岡村興産株式会社及び大邦産業株式会社の代表取締役に就任していた。

(2) 原告は貸金業に関し、昭和四一年一一月一九日に同年同月二〇日から一年間貸金業を休止する旨の届出を、昭和五八年一〇月二四日に貸金業を廃止する旨の届出を、それぞれ新潟県知事に対し行った。

(3) 原告は、昭和四二年頃から大和建材に対し、昭和四五年頃から大津建設に対し、昭和四八年頃から川上リースに対し、昭和五二年頃から池田組に対し、それぞれ主として手形割引の方法により経営資金等の貸付を行っていた。

(4) 被告は昭和五二年一〇月七日に行った原告の所得調査で同人の貸金業に係る所得の実額を把握できなかったため、借受人及び取引関係者らに対する反面調査を行い、その結果原告に確定申告していない貸金業に係る所得及びその他の所得があることが判明し、その後原告に対し更に所得調査を継続した。

(5) しかし、原告は貸金業等による収入を一切明らかにしなかった。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

(三)  右(一)及び(二)の認定事実によると、原告は昭和四七年以前から継続的に貸金業を営んでおり、被告において原告の昭和四七年分ないし昭和五一年分の所得につき、確定申告されていない貸金業に係る所得があると考えられる状況があったものと認められる。そして、被告が反面調査をした上で行った所得調査に際しても、原告は貸金業等による収入を明らかにせず、被告の所得調査に対しても非協力的であったのであるから、被告において原告の右各年分の所得の実額を把握することができない場合に該当し、その所得金額を推計して課税する必要があったことが認められる。

そして、以上の事情は昭和五二年分に関しても同様であるので、同年分の所得についても推計の必要があるということができる。

3  貸金業の事業所得金額

(一)  大津建設からの受取利子割引料収入

(1) 前掲乙第二九号証の一によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第八号証の一ないし二一は約束手形帳の控部分(いわゆる手形の耳と呼ばれている部分)であるが、前掲乙第二九号証の一、証人矢亀勲の証言により真正に成立したものと認められる乙第三六号証の一によれば、右各控部分のうち利息金額の記載を除いた部分は、大津建設の代表取締役であった大津幸一が、同会社が原告から手形割引の方法により貸付を受けるために約束手形を振り出した都度その手形要件を記入して作成したものであること、利息金額の記載は、大津建設の事務員であった種村一夫(又は「一男」)が、原告が手形を割り引いた際に天引した金額をその都度記入したものであることが認められる。

(2) 証人矢亀勲の証言によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第二九号証の二、同第三六号証の二は大津建設の手形受払帳の写し(同一のもの)であるが、前掲乙第二九号証の一、同第三六号証の一によれば、右手形受払帳の摘要欄にある「岡村氏」、「大津岡」、「岡大津」、「岡村秀太郎」、「大津誠市岡」、「大津秀夫」の表示はいずれも原告を指すものであり、右表示のある部分に記載されている控に対応する手形は全て原告から借り入れをするために振り出された手形であることが認められる。

(3) 前掲乙第九号証、同第二九号証の一、同第三六号証の一によれば、乙第九号証中の「岡村秀太郎、(有)大津建設間の借受及弁済一覧表」と題する書面(以下「岡村・大津貸借表」という。)は、前掲乙第八号証の一ないし二一の約束手形の控部分及び前掲第二九号証の二、同第三六号証の二の手形受払帳から大津建設と原告との間の手形割引の方法による貸借状況を一覧表にしたものであること、しかし、右一覧表には乙第二九号証の二及び同第三六号証の二の各二四ページに記載されている「昭和四七年四月一五日付、番号6、摘要・岡村秀太郎、手形種類・約手、振出人・自社、受取人・岡村秀太郎、支払地・六日町、支払場所・北越銀行、期日・昭和四七年一〇月二五日、金額・三〇万円、備考・<済>」の貸借が記載漏れになっていることが認められる。

(4) 前掲乙第九号証、同第二九号証の一、同第三六号証の一によれば、大津建設が原告から手形割引の方法により貸付を受ける場合の利率は日歩一二銭の割合とする約束があったこと、しかし、原告は必ずしも日歩一二銭の割合によって算出される利息をそのまま天引したことは少なく、同人の意向によって端数を切り上げたり、同人の資金繰りの都合上右利率より高い割合による利息を天引することがあったことが認められる。

(5)ア 右(1)ないし(4)の認定に対し、原告は、大津建設はすでに倒産しているおり、経済的信用のない者であるから、同会社の帳簿類は信用できない旨主張する。

よって案じるに、前掲乙第一八号証、同第二九号証の一によれば、大津建設は昭和四八年一〇月末頃倒産したことが認められるが、会社が倒産したことによっても直ちにその会社の帳簿類の記載内容が虚偽であるとか、信用性を失うものであるということはできないし、また本件全証拠によっても前記手形の控部分、手形受払帳及び岡村・大津貸借表の各作成に関して虚偽記入がなされたことを示す事情は窺われない。

イ 次に原告は、原告と大津建設とは経済的に密接な関係を有する親密な間柄であったので、同会社に対する貸付利率は全て銀行利息程度であった旨主張し、それに副う証拠としてはまず甲第一号証及び原告本人の供述がある。しかし、これらの証拠は貸付の全部について銀行利息と全く同率であったというものではないだけでなく、また個々の貸付を特定した上での貸付利率に関する証拠でもなく、その内容は具体性に欠け、前記手形の控部分、手形受払帳及び岡村・大津貸借表の各内容及びその作成経緯に照らせば明らかに客観性を欠くものであって、結局措信できないものである。

また原告は、更に右主張に関する証拠として甲第二ないし同第四号証、同第六〇号証の一・二を提出するが、右各証拠の示す事実に右各証拠を説明する原告本人の供述を合わせても大津建設に対する貸付利率を明らかにするものではなく、前記(4)の貸付利率に関する認定を左右する程のものではない。

ウ その他右(1)ないし(4)の認定を覆すに足りる証拠はない。

(6) 以上の認定事実によれば、前記手形の控部分、手形受払帳及び岡村・大津貸借表は原告の大津建設に対する手形割引の方法による貸付の事実関係を示す資料として十分信用できるものであり、これを基にして原告が大津建設から取得した受取利子割引料を推計する方法には合理性があると認められる。

そして所得の計算上、受取利子割引料の収入時期は、貸付期間が二年以上の課税年度にわたる場合には、貸付期間の中途の年度についてはその年度の末日にその年度に対応する収入があったとされ、貸付期間の終了する年度についてはその終了日にその年度に対応する収入があったとされるから、右資料及び前記(4)の認定事実に基づき原告が大津建設から受領した受取利子割引料を推計し、これを課税年度ごとに日割計算すると別表K―Ⅱの一(但し、順号7は日歩一二銭の割合の約定利率による。)記載のとおりとなる。

(二)  大和建材及び米山からの受取利子割引料収入

(1) 前掲乙第一三号証、成立に争いのない甲第二六号証、証人米山寿太郎の証言(第一、二回)によれば、以下の事実が認められる。

米山(単に米山というときは寿太郎を指す。以下同じ。)は、大和建材の設立当初から倒産するまでの間同会社の代表取締役であり、同会社の資金繰り一切を担当していた。大和建材は昭和四二年頃から資金繰りに困るようになり、原告から手形割引の方法により貸付を受けるようになった。右手形割引には大和建材、米山、米山の兄弟等又はそれらの者が経営している会社が振り出した約束手形が使われていた。

大和建材と原告は、右貸付における貸付利率につき特別に約束したものはなかったが、そのほとんどが日歩一〇銭の割合であり、原告の資金調達の都合によって高い時には月五分(日歩一七銭)位の割合のときもあった。

米山は、大和建材が原告から貸付を受ける回数及び金額が多くなった昭和四八年頃、原告から、貸主が原告であることを帳簿上明記しないこと、貸付利率は対外的には銀行利息に多少の手数料を上乗せした程度ということにすること、領収書は発行しないことを了承することを約束させられ、同年頃から昭和五一年頃までの間、大和建材の帳簿や伝票上の処理において貸付人の表示上原告名を出さずに米山自身の名前を使用したり、利息の額についても米山が銀行利息に多少の手数料を上乗せした利率として適当な利率と考えた日歩五銭の割合により計算した利息の額を記入し、実際の利息との差額を米山の役員報酬の中から補填するという処理を行っていた。右期間以降については、大和建材と原告との間で昭和五一年一〇月一五日にそれまでの間の貸借一切が清算され、前記約束を履行する必要がなくなったため、通常の経理処理が行われた。なお、右期間の大和建材の帳簿類の記載のうち米山が手を入れたのは貸付人の表示及び利息の額だけであって、借受日及び借入に使った手形の表示は全て実際のものが記入されており、右期間以外の間の帳簿類は貸付人及び利息の額を含め全て実際のものが記入されている。

ところで米山は、右のような処理をして作成した帳簿類では現実の手形等の支払に支障が生じる不便を考慮し、原告と大和建材との間の手形割引の方法により貸付を含め、大和建材の手形及び小切手取引のほぼ全部について備忘録として手帳を利用し、その手帳に取引に使用した手形を特定するために手形の振出日、振出人、支払場所、手形金額、支払日を記入し、合わせて手形の交付日、割引日、交付人、貸付利率を付記し、これにより手形支払等を行っていた。そして右の手帳というのが乙第一ないし同第七号証として提出されているもの(以下「手形記入帳」という。)である。なお米山は、原告との貸借については、貸付利率が日歩一〇銭の割合であったものは手形記入帳に別途貸付利率の記載をしておらず、右割合以外の場合に限り貸付利率を記入するようにしていた。

(2)ア 右認定に対し、原告は、大和建材はすでに倒産しており、経済的信用のない者であるから、同会社の帳簿類も信用できない旨主張する。

右(1)で認定のとおり大和建材は倒産していることが認められるが、前記二3(一)(5)アの判示と同様の理由で原告の右主張は採用し得ない。

イ 次に原告は、貸付利率について大津建材からの受取利子割引料においてしたと同様の主張(二3(一)(5)イ参照)をし、それに副う原告本人の供述があるが、前記3(一)(5)イの判示並びに前記手形記入帳の内容及びその作成経過並びに昭和四七年及び昭和五二年の大和建材の伝票であり証人大塚安夫の証言によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第一五号証の一ないし九、同第一六号証に照らし、措信できない。

ウ その他右(1)の認定を覆すに足りる証拠はない。

エ なお、成立に争いのない甲第二四号証中に、大和建材が原告から昭和四九年ないし昭和五一年の間に割引を受けた手形を記載した表があり、証人米山寿太郎の証言(第一回)によれば、右表は米山が前掲乙第一ないし同第六号証を基に作成したものであることが認められるが、その記載内容には右乙号各証の記載と符合しない部分が散見され、米山自身も書き写す際に誤記のあったことを否定しない。してみると、右乙号各証を証拠として採用する場合、それより内容の正確性が劣る右表を証拠に用いる必要性がないことになるので、所得の推計上右表は用いないこととする。

(3) 以上の認定事実によって検討するに、前記手形記入帳、証人米山寿太郎の証言(第一回)によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第一〇号証の一ないし四九(大和建材の昭和四八年ないし昭和五一年の間の出入金伝票)、同第一一号証の一・二(大和建材の昭和四九年七月一日から昭和五〇年六月三〇日までの借入金台帳)、同第一二号証の一ないし三(大和建材の昭和五〇年七月から昭和五一年六月までの借入金台帳)の借入日、借入金額、支払日の各記載は、原告の大和建材に対する手形割引の方法による貸付の事実関係を示す資料として信用できるものであり、これを基にして原告が大和建材から取得した受取利子割引料を推計する方法には合理性があると認められる。

そして前記二3(一)(6)と同様に、右資料及び弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第三九号証に基づき原告が大和建材から受領した受取利子割引料を推計し、これを課税年度ごとに日割計算すると、別表K―Ⅱの二及び三(但し順号六二、六三を除く。)記載のとおりとなる。

(三)  同和商事有限会社に対する債務立替払に関する収入

(1) 前掲乙第五号証、同第一三号証、同第一四号証、証人米山寿太郎の証言(第一、二回)、原告本人尋問の結果(但し後記措信しない部分を除く。)によれば、以下の事実が認められる。

大和建材は昭和四八年頃から同和商事有限会社より資金の貸付を受けていたが、昭和五〇年六月頃、同和商事有限会社から貸金元金四八八万円、利息五二万円の合計五四〇万円につき返済方を強く求められ、これについて原告に相談を持ちかけた。原告は右債務を肩代わりすることを引き受け、右債務を大和建材に代わって弁済した。他方原告は、大和建材に対し立替えた金員の返済として七〇〇万円を要求し、大和建材は別表K―Ⅰの三の注(1)記載の順号1ないし3の約束手形を原告に交付した。その後大和建材は、原告から更に五〇万円を要求され、同表の三の注(1)記載の順号4の約束手形を原告に交付した。右約束手形のうち順号2のものは支払日が同年一二月三一日のものに、順号3のものは支払日が同年同月二五日のものにそれぞれ書き換えられたが、順号1及び4の約束手形とあわせて同年同月三一日までに全手形が決済された。

右認定に対し、原告はその本人尋問の中で右約束手形はいずれも決済されていない旨供述するが、前掲各証拠及び後記(四)(1)の認定事実に照らし措信し難く、その他右認定を覆すに足りる証拠はない。

(2) 右認定事実によれば、原告が同和商事有限会社に立替払いした五四〇万円と右立替金の返済として取得した七五〇万円との差額二一〇万円は原告が収受したものと推認することができ、原告の右立替払いは大和建材に対する資金貸付の一環として行われたものとみることができるので、右二一〇万円は原告の貸金業の事業所得に係る収入であると認められる(別表K―Ⅱの三順号六二)。

(四)  原告と大和建材との間の手形取引の清算

(1) 前掲乙第一三号証、いずれも成立に争いのない甲第六号証、乙第二四号証、証人米山寿太郎の証言(第一回)及び原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる乙第二五号証、証人米山寿太郎の証言(第一、二回)によれば、以下の事実が認められる。

大和建材は昭和五一年頃、それまでに原告から手形割引の方法により貸付を受けた金銭が相当の額になっていたところ、原告から同人自身の資金繰りの必要上右貸付金の返済を求められた。大和建材は後記二4(一)で認定のとおり原告から買い受けた砂利砕石プラント及び同会社の設備機械を譲渡担保に供して佐野生コンから一五〇〇万円の融資を受け、右一五〇〇万円と大和建材が原告に対し有していた債権で、大和建材の原告に対する手形取引上の債務を清算することにした。そして同年一〇月一五日頃、米山は、佐野生コンから融資を受けた際連帯保証人になってもらった小杉信治、米山良忠、安藤武を伴って原告宅へ赴き、原告との間で次のとおり清算することの合意に至った。すなわち、同月一六日時点における大和建材の原告に対する貸付債務は手形三一枚分二二八五万五〇〇〇円であることを確認し、これについて同日当時における大和建材の原告に対する債権四七〇万円との間で対当額で相殺し、更に大和建材が一五〇〇万円を弁済し、他方右手形はいずれも支払日が同月二〇日から同年一一月三〇日までの間のものであったので、原告において未経過利息分合計二三〇万五〇〇〇円を値引きしたところ、最終的に大津建設の原告に対する八五万円の貸付債務が残り、これは後日支払うことになった。なお原告は、右清算により前記三一枚の手形を大和建材に返還しなければならなかったのであるが、既に再割引等のため他に譲渡して所持していなかったため、右手形は原告が決済することになった。

原告本人尋問中には右認定に反する供述部分があるが、前掲各証拠に照らし措信できず、その他右認定を覆すに足りる証拠はない。

(2) 右認定事実によれば、原告が昭和五一年度中に大和建材から受領した受取利子割引料のうち二三〇万五〇〇〇円については同年度中に大和建材に返還されたことと同一の効果を持つものであり、結局収入がなかったものといえるから、右金額は同年度の貸金業の事業所得に係る収入から減額すべきことになる(別表K―Ⅱの三順号六三)。

(五)  昭和四七年分ないし昭和五一年分の貸金業の事業所得に係る必要経費

(1) 右各年分の貸金業における一般経費率及び特別経費の額は当事者間に争いがない。

(2) 原告は昭和四七年分の事業所得につき別紙手形目録記載の約束手形の回収が不能であるから、右手形金額相当の三〇万円は損失として控除されるべきであると主張する。

一般に納税者が事業所得を生ずべき事業の遂行上発生した債権の貸倒れにより生じた損失がある場合には、その損失額をその損失が生じた日の属する年分の当該所得金額の計算上必要経費に算入することができ(所得税法五一条二項)、債務者の資産状態、支払能力等により当該債権の回収が不能であると判定される場合には、貸倒れがあったものとして取り扱われる。

そこで右約束手形について検討するに、弁論の全趣旨及びこれにより真正に成立したものと認められる甲第一八号証によれば、原告は右約束手形を現に所持し、右約束手形の支払を未だ受けていないことが認められるが、本件全証拠によっても右約束手形の振出人及び裏書人に対する手形金債権がいつ回収不能になったのか特定することができない。したがって右約束手形債権が事業所得に係る収入であるか否かを判断するまでもなく、昭和四七年分の貸倒損失として必要経費に計上することはできないものとせねばならない。

(六)  まとめ

以上の認定に基づき原告の昭和四七年分ないし昭和五一年分の貸金業の事業所得金額を計算すると別表C―Ⅱの一ないし五記載のとおりとなる。

4  雑所得金額

(一)  昭和四八年分

(1) 砂利砕石プラントに関する収入

ア 前掲乙第二五号証、いずれも成立に争いのない甲第一二号証、乙第二三号証、証人米山寿太郎の証言(第二回)により真正に成立したものと認められる甲第六一号証の一(但し原本の存在及び官署作成部分の成立は当事者間に争いがない。)、証人渡辺克己の証言によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第一九号証の一・二、同第二〇号証の一・二、同第二一号証、同第二二号証、証人米山寿太郎の証言(第一、二回)、原告本人尋問の結果によれば、以下(ア)ないし(ウ)の事実が認められる。

(ア) 大和建材は昭和四八年頃、業としていた建材販売業の設備拡充として気工社製の砂利砕石プラント一式を原告から買い受けることになった。原告は、大和建材の売買代金支払能力に不安があったので右両者間だけで売買契約を直接行うことをせず、原告、大和建材及び佐野生コンとの間で、同年五月二八日原告はその所有する砂利砕石プラントを米山及びその親族が所有する土地上に設置し、これを大和建材に貸与すること、右貸与の期間は同年九月一日から昭和五〇年一〇月末日までの二六ケ月間とすること、右期間終了後は砂利砕石プラントの所有権を大和建材に譲渡すること、右貸与期間中の賃料は五二〇〇万円とし、一月二〇〇万円ずつの分割払とすること、分割金の支払方法は、佐野生コンが大和建材に対し負担する骨材販売代金債務の支払を原告の預金口座に振り込んで行い、原告において分割金を清算し、残余金が生じたときは大和建材に返還すること、以上の内容で契約を締結した。そして大和建材は原告に対し、右dの約定による分割金の支払のために、米山が振り出し、大和建材が裏書した手形金額が各一〇〇万円で毎月二〇〇万円ずつ支払日が到来するようにした約束手形五二枚を交付した。

(イ) 佐野生コンは右契約に基づき、昭和四八年一二月から昭和五〇年一月まで大和建材に支払うべき骨材販売代金を新潟県信用組合六日町支店の原告の普通預金口座(口座番号三七三四)へ振り込んだ。佐野生コンは昭和五〇年一月頃、大和建材との骨材販売取引の全部を関連会社である条栄商事に引き継ぎ、条栄商事はそれ以後昭和五一年八月まで大和建材に支払うべき骨材販売代金を佐野生コンと同様に原告の右預金口座へ振り込んで支払った。佐野生コン及び条栄商事が以上の経緯により右期間中に原告の右預金口座へ振り込んだ骨材販売代金の総額は六四三二万九四五九円である。

(ウ) なお、原告と米山は右契約に付随して、大和建材が分割金完済時において原告が米山に一〇〇〇万円を支払う旨約束していたが、右契約は昭和五二年一〇月一五日頃、大和建材が原告に対し負担していた債務の弁済に充てることによって実行された。

以上の事実を認定することができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

イ 右ア認定事実によれば、原告、大和建材及び佐野生コンが昭和四八年五月二八日に締結した契約は、原告と大和建材との間においては砂利砕石プラントをリースする形態を借りた所有権留保条件付売買であると認められ、大和建材が原告に対し負担する賃貸料名下の分割金の支払の実質的性質は売買代金の分割金の支払であると認められる。そして、右契約に基づき分割金の合計五二〇〇万円を超える金額の支払が佐野生コン及び条栄商事によってなされている事実及び右契約に付随する原告と米山との間の約束が実行されている事実に鑑みると、右分割金は全額支払済みであると推認できるのである。そうすると、原告が右分割金の支払のために受領した約束手形も全て決済されたものと考えられる。

ウ(ア) 右認定に対し、原告は、前記契約に基づく分割金は二五〇〇万円しか支払われておらず、付随して行った約束に基づく一〇〇〇万円を右分割金に充当したとしても一七〇〇万円が未決済であり、かつ回収不能であるから、右一七〇〇万円分は損金となるものであると主張し、それに副う原告本人の供述があり、また甲第一三号証の一ないし一九、同第一七号証が提出されている。

(イ) 甲第一三号証の一ないし一九及び同第一七号証(但し同号証は甲第一三号証の一八と同じものである。)は、その記載事項からして右分割金の支払のため原告が大和建材から受領した約束手形であると認められるが、他方原告本人において右約束手形が決済されていない理由として述べることは、原告は大和建材に対し、佐野生コン及び条栄商事から振り込まれた骨材販売代金の中から大和建材が必要とした人件費、管理費等の会社経費に充てる金員を貸し付けていたものであり、右貸付に関する借用証書に代わるものとして右約束手形を現在も所持しているが、未だ決済されていないというものである。

(ウ) そうすると、右約束手形は元来は分割金の支払のために原告が受領したものであったが、骨材販売代金が原告の預金口座に振り込まれ、前記契約の約定により実質上清算されて原告の所有に帰する金員になった後に、新たにその金員の一部が大和建材に貸し付けられ、その貸付の借用証書に代わるものとして所持することになったもの、又は右貸付債権の支払を受けるため原告が所持していたものとみるべきである。したがって以上のような趣旨から原告が所持することになった右約束手形が仮に回収不能になったとしても、砂利砕石プラントの売買代金の支払がなされなかったことにはならないというべきである。

(エ) ところで、原告は右判示のとおり右約束手形に見合う新たな貸付を行っていることが認められ、その貸付債権は原告の事業所得に係るものといえるから、前記二3(五)(2)で判示のとおり右貸付債権につき貸倒れが生じた場合には事業所得の計算上必要経費に計上されるべきことになる。

前掲甲第二六号証、乙第七号証、証人米山寿太郎の証言(第一回)によれば、大和建材は昭和四五年頃から経営状態が悪く、昭和四七、八年頃には手形不渡りを出したこともあったが業務は継続されていたこと、昭和五二年度の手形記入帳には同年度の手形取引について前年度のそれとほぼ同程度の内容のものが記載されていること、しかし昭和五三年四月二一日頃には従業員に対する給料の支払が滞り、事実上倒産状態であったことが認められ、右認定に反する証拠はない。

右認定事実によれば、大和建材は昭和五二年中はまだ経営が継続されており、同会社の債務の支払が不能になっていたということはできず、支払不能になったのは早くても昭和五三年初め頃というべきである。してみると、前記貸付債権の貸倒損失は結局本件係争年分の所得金額の計算上必要経費に計上できないものであるから、本件各更正の適法性の判断を左右するものではない。

エ 原告は砂利砕石プラントに関する収入は事業所得に係る収入であると主張する。

事業所得とは一定の事業から生じる所得をいうが、前記二2(二)(1)で認定したとおり原告は本件係争年度の間はすし店及び公衆浴場を経営し、併せて不動産貸付業及び貸金業を営んでいたものであること、砂利砕石プラントに関する収入は前記のとおりその実質は売買代金収入であること、本件全証拠によっても原告が砂利砕石プラント等の大型機械を反覆、継続して販売していたことを窺わせる事実は認められないこと、以上の点に鑑みると砂利砕石プラントの売却による代金収入は事業所得に係る収入ということはできず、また利子、配当、不動産、給与、退職、山林、譲渡の各所得(以上の各所得をまとめて便宜上「典型所得」ということにする。)に係る収入にも該当しないので、雑所得に係る収入ということになる。

(2) 販売手数料収入

ア 証人矢亀勲の証言及びこれによりいずれも真正に成立したものと認められる乙第三一号証、同第三二号証によれば、気工社は原告に対し、昭和四八年一二月一五日、砂利砕石プラントの販売手数料として四〇万円を支払ったことが認められ、右認定に反する証拠はない。

イ 証人渡辺克己の証言及びこれにより真正に成立したものと認められる乙第三三号証によれば、鉄建工機は原告に対し、昭和四八年七月二八日、販売手数料として一万円を支払ったことが認められ、右認定に反する証拠はない。

ウ 右ア及びイの認定事実によれば、原告は昭和四八年度に販売手数料として合計四一万円の収入があったことが認められ、右収入は原告の事業内容に鑑み事業所得に係る収入とはいえず、その他の典型所得に係る収入にも該当しないので、雑所得に係る収入ということになる。

(3) 認定される昭和四八年分の雑所得金額

以上の認定事実及び昭和四八年分の雑所得に係る必要経費が二九四〇万円であることは当事者間に争いがないことからすると、同年分の雑所得金額は別表Dの一記載のとおりとなる。

(二)  昭和四九年分

(1) リベート及びあっせん手数料収入

ア 原告が昭和四九年中に鉄建工機からリベートとして合計二七万一三〇〇円を、佐野生コンから骨材販売あっせん手数料として合計一〇三万五二二五円を受領したこと(別表Dの二a及びbの事実)は当事者間に争いがない。

イ 原告は右収入は事業所得に係る収入であると主張するので検討するに、佐野生コンからの骨材販売あっせん手数料は定期的に支払われたものではあるが、いずれも原告が本件係争年度において事業として行っていたすし店、公衆浴場、不動産貸付及び貸金の各業務と無関係のものであり、本件全証拠によってもその事業性を認めることができず、その他の典型所得に係る収入にも該当しないので、雑所得に係る所得ということになる。

(2) 川上リースからの金融相談料収入

ア 前掲乙第三〇号証、証人米山寿太郎の証言(第一回)によれば、原告は昭和四八年頃から川上リースに対し手形割引の方法による貸付を行うほか経営上の相談を受けるなどしていたが、昭和四九年九月から同年一二月までの間毎月二〇万円ずつ合計八〇万円を手形割引金の中から金融相談料名目で取得していたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

右認定事実によれば、原告は昭和四九年中に川上リースから八〇万円の収入を得ており、右収入は貸付行為により取得したものとは認められず、また原告の事業内容に鑑みると事業所得に係る収入ということもできない。そしてその他の典型所得に係る収入にも該当しないので、雑所得に係る収入ということになる。

イ 原告は、金融相談料を取得した際に割り引いた手形はいずれも不渡りになり、現実の収入がなく、手形金額相当額の損失が生じているので、右損失と金融相談料収入を通算すると所得はない旨主張する。

いずれも成立に争いのない甲第五九号証の二ないし一〇によれば、川上リース振出の約束手形で昭和四八年中に支払日が到来するものはいずれも資金不足を理由に不渡りになっていることが認められるが、本件全証拠によっても右甲号各証の約束手形が金融相談料を取得した際に割り引いた約束手形であると認めることができず、かつ原告主張の約束手形が回収不能になった時期を特定することができない。したがって原告主張の損失の発生時期が不明であるので、右損失がいかなる種類の所得に係る損失であるかを判断するまでもなく、昭和四九年中に生じた損失として同年分の所得の計算上考慮することはできない。

(3) 認定される昭和四九年分の雑所得金額

以上の認定事実及び昭和四九年分の雑所得に係る必要経費として計上するものがないことからすると、同年分の雑所得金額は別表Dの二記載のとおりとなる。

(三)  昭和五〇年分

(1) インパクトブレーカーの売却による収入

ア 成立に争いのない甲第一五号証、証人米山寿太郎の証言(第一回)により真正に成立したものと認められる乙第二八号証、証人米山寿太郎の証言(第一回)、原告本人尋問の結果によれば、以下の事実が認められる。

大和建材は昭和四八年五月二八日、原告からリース形式を借りた所有権留保条件付売買により気工社製砂利砕石プラント一式を購入したが、更に昭和五〇年頃、右プラントに付設できるインパクトブレーカーを購入することを決めた。大和建材は右プラントの売買代金の分割金の支払が履行途中であったこと及びインパクトブレーカーを付設するには右プラントの改造が必要であったことから、インパクトブレーカーの購入先につき原告に相談を持ちかけた。原告は、大和建材が設備を増設することに賛成し、原告の知り合いである鉄建工機を紹介し、自らも購入代金の値引きを掛け合うことを承知した。その後大和建材は原告を通じて鉄建工機からインパクトブレーカーの購入交渉を行うことになり、原告が持参した機械売買契約書二通の買主欄に記名押印して原告に交付し、その頃インパクトブレーカーの購入代金として原告が提示した一二〇〇万円を米山嘉繁振出の約束手形で支払うことにしてこれを原告に交付した。そして右インパクトブレーカーは同年八月二〇日付で大和建材の設備目録に登載されている。なお大和建材は、右インパクトブレーカーの購入に関して原告に一任していた関係上、その売主について強い関心を有しておらず、米山においては現在でもその売主は鉄建工機であると考えている。

以上の事実が認定でき、右認定に反する証拠はない。

イ 証人渡辺克己の証言により真正に成立したものと認められる乙第二六号証によれば、鉄建工機の昭和五〇年度の売上帳には、同年七月三〇日原告に対し気工社製インパクトブレーカーNKB―一二〇型一台を組立工賃等を含めた売買代金九〇〇万円で売却し、右売買に関し同年中に合計八〇万円の利息債権が発生していること、及び、同年九月三〇日に右九〇〇万円の支払として原告から米山嘉繁振出、支払日同年一〇月三一日、手形金額一〇〇万円の約束手形一枚及び同年一一月から昭和五二年二月まで毎月末日を支払日とする手形金額五〇万円の約束手形一六枚を受領したことを示す記載があること、成立に争いのない乙第三四号証によれば、原告は被告に対する昭和五〇年分の本件更正の異議申立書において右インパクトブレーカーを大和建材に売り渡したことを前提とする異議理由を述べていること、成立に争いのない乙第三五号証によれば、原告は、鉄建工機が原告を相手方として提起した手形訴訟(新潟地方裁判所六日町支部昭和五一年手ワ第五号)において、右インパクトブレーカーを鉄建工機から一二〇〇万円で買い受けた旨の主張を行っていること、がそれぞれ認められる。

以上の各証拠は、原告が鉄建工機からインパクトブレーカーを購入し、それを大和建材へ転売したという被告の主張に副うものである。

ウ しかし他方、原本の存在及び成立に争いのない甲第六六号証及び原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一四号証は、いずれも売主を鉄建工機、買主を大和建材、連帯保証人を米山及び原告とする気工社製インパクトブレーカーNKB―一二〇型一台の所有権留保条件付機械割賦販売契約書であり、それぞれの記名押印がなされている。右契約の内容は、右機械の売買代金を一一五〇万円とし、その支払条件を頭金一〇〇万円、割賦金総額一〇五〇万円、金利三・五パーセントとし、右割賦金は昭和五〇年八月から昭和五二年七月まで毎月末日限り元利合計五〇万円宛(但し最終回は三四万五〇〇〇円)支払うとする約定になっている。そして甲第六六号証の方には契約締結日として昭和五〇年六月一日の日付が記入されており、また同年一二月二二日付の確定日付が付されている。

以上のとおり右各文書は、鉄建工機と大和建材間のインパクトブレーカーの売買契約を証する直接証拠であり、右アで認定した大和建材がインパクトブレーカーを購入するにつき作成を求められた契約書二通であることが窺われる。

エ 右アないしウの認定事実によって検討するに、右イの事実は大和建材が購入したインパクトブレーカーの売主が原告であることを直接示すものではなく、前掲甲第一四号証、同第六六号証に照らすと、原告が鉄建工機から買い受けたインパクトブレーカーを大和建材に転売したという事実を推認させるまでには至らない。却って大和建材がインパクトブレーカーを購入した経緯に関する右アの事実及び前掲甲第一四号証、同第六六号証に基づけば、大和建材は昭和五〇年中に原告を通じて鉄建工機からインパクトブレーカーを購入したが、その代金として大和建材は一二〇〇万円を支払い、他方原告と鉄建工機との間ではその代金が九〇〇万円とされ、原告はその代金債務について連帯保証したこと、そして原告は右九〇〇万円の支払のために大和建材から受領していた約束手形のうちから九〇〇万円分の約束手形に裏書をして鉄建工機に交付したこと、以上の経過で売買及び代金の決済が行われたものと推認することができる。

オ 右判示事実とインパクトブレーカーの売買に関して大和建材、原告及び鉄建工機の三者以外の者が関与したことが窺われないことからすると、原告が大和建材から受領した一二〇〇万円分の約束手形から原告が鉄建工機に交付した右約束手形のうちの九〇〇万円分の約束手形を除いた三〇〇万円分の約束手形が原告の手元に残り、これを取得したものと考えられる。したがって原告は昭和五〇年中に右手形金額三〇〇万円相当額の収入があったものと認められ、右収入に関して原告に生じたと認められる前記イで認定の利息債務八〇万円は必要経費と考えられる。

なお右収入は原告の事業内容に鑑みると事業所得に係る収入とはいえず、その他の典型所得に係る収入にも該当しないから、雑所得に係る収入ということになる。

(2) 骨材販売あっせん手数料及びパワーシャベルの賃貸料収入

別表Dの三b及びcの事実は当事者間に争いがなく、右収入は原告の事業内容に鑑みると事業所得に係る収入ということはできず、その他の典型所得に係る収入にも該当しないので、雑所得に係る収入ということになる。

(3) 保証債務の履行による損失

ア 前掲甲第一五号証、原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一六号証、原告本人尋問によれば、原告は、インパクトブレーカーの代金の支払のために鉄建工機に交付した約束手形のうち昭和五一年五月から昭和五二年三月までに支払日が到来する約束手形(手形金額合計五三〇万円)につき、鉄建工機から裏書人の責任に基づく手形訴訟(新潟地方裁判所六日町支部昭和五一年手ワ第五号)を提起され、これにつき昭和五二年九月一七日請求全部認容の判決を受けたこと、原告は同年一〇月二九日鉄建工機との間で右手形判決に基づき別途手形金支払約束を締結し、元利合計五七五万円を約束手形で支払ったことが認められ、右認定に反する証拠はない。

イ 右アの認定事実と前記(1)の判示事実を併せて考えると、原告が鉄建工機に五七五万円を支払ったのは、大和建材が鉄建工機に対し負担していたインパクトブレーカーの売買代金債務の保証債務の履行と評価できる。

ところで、原告の大和建材に対する求償債権は右アの認定事実のとおり昭和五二年中であるが、右求償債権の回収が不能になり、貸倒れが生じるのは前記二4(一)(1)ウ(エ)で認定のとおり昭和五三年初め頃であるので、右求償債権の貸倒損失は本件係争年度の所得の計算上考慮し得ない。

(4) 認定される昭和五〇年分の雑所得金額

以上の認定によれば昭和五〇年分の雑所得金額は別表Dの三(但し必要経費の額のうち九七一万四〇〇〇円は当事者間に争いがない。)記載のとおりとなる。

(四)  昭和五一年分

(1) 原石採取料収入

ア 前掲乙第二五号証、証人米山寿太郎の証言(第一回)弁論の全趣旨によれば、大和建材は原告の所有する新潟県南魚沼郡大和町大字海土ケ島の土地から砕石用の原石を採取し、その採取料一〇〇万円の支払のために昭和五一年九月五日手形金額一〇〇万円の約束手形を原告に交付したこと、右約束手形は後日別の手形を原告に割り引いてもらって決済したことが認められ、右認定に反する証拠はない。

イ 右認定に対し、原告は、原石採取料の支払のために受領した約束手形は決済されていない旨主張するが、当初の受取手形は後に別手形の割引によって決済されていることは右アで認定したとおりであるから、その分の収入があったものと認められるものであり、仮に別手形につき決済ができていず回収ができなかったとしても、それは別手形の割引による新たな貸付債権が貸倒れになったということであって、かつ大和建材に対する債権の貸倒れが生じたのは前記二4(一)(1)ウ(エ)で認定のとおり昭和五三年初め頃であるから、本件係争年度の所得の計算上考慮し得ない。

(2) 骨材販売あっせん手数料及びパワーシャベルの賃貸料収入

別表Dの四b及びcの事実は当事者間に争いがなく、右収入は前記二4(三)(2)の判示と同様に雑所得に係る収入ということになる。

(3) 認定される昭和五一年分の雑所得金額

以上の認定及び昭和五一年分の雑所得に係る必要経費として計上するものがないことからすると、同年分の雑所得金額は別表Dの四記載のとおりとなる。

5  認定される総所得金額

右1ないし4によれば、原告の昭和四七年分ないし昭和五一年分の総合課税による総所得金額及び分離短期譲渡所得金額は別表B―Ⅲ記載のとおりとなり、右各年分の本件各更正はいずれも右の範囲内で行われたものであることが認められる。

6  昭和四七年分ないし昭和四九年分の本件各更正の期間制限

(一)  被告が右各年分の本件各更正を行った昭和五三年二月二日又は同年七月三日当時の国税通則法(昭和五六年法律第五四号による改正前のもの)では、更正は原則としてその更正に係る国税の法定申告期限から三年を経過した日以後においてはすることができない(同法七〇条一項一号)が、偽りその他不正の行為によりその全部又は一部の税額を免れた国税についての更正はその更正に係る国税の法定申告期限から五年を経過するまですることができる(同法七〇条二項四号)とされていた。

(二)  原告の昭和四七年分ないし昭和四九年分の所得金額は別表B―Ⅲ記載のとおりと認められるが、原告は右各年分の貸金業の事業所得及び雑所得の全部について所得がないとして申告せず、かつ被告が行った所得調査に対しても右所得を明らかにしなかったことは前記判示のとおりである。

(三)  前掲乙第一〇号証の一ないし四九、同第一一号証の一及び二、同第一二号証の一ないし三、同第一三号証、同第二九号証の一・二、同第三六号証の一・二、同第三七号証の一、証人米山寿太郎(第一回)、同大塚安夫及び同渡辺克己の各証言によれば、以下(1)ないし(3)の事実が認められる。

(1) 原告は大津建設及び大和建材に対し手形割引の方法による貸付を行うにつき、それぞれとの間で、貸付人である原告の名前は帳簿上出さないようにする、原告が貸付を行っていることが税務署等に知れた場合には、貸付利率を銀行利息程度であると答えることにする、貸付金及び利息の支払があっても領収書は一切発行しないことを了承する、以上のことを約束させていた。

(2) 大津建設及び大和建材では、右約束に従い、少なくとも昭和四七年度ないし昭和五一年度の帳簿には、原告との取引を記帳するにあたり原告の名前を出さないようにし、また大和建材においては利息金額にも手を入れて、それぞれ経理上の処理がされていた。

(3) また原告は、佐野生コン及び条栄商事に対し、右各会社から骨材販売手数料を受領するにつき、第一勧業銀行田無支店又は平和相互銀行田無支店の原告の預金口座へ原告名義で振込送金して欲しい旨要請し、右各会社は昭和四九年一〇月から昭和五一年八月までの間右方法により総額四八八万五九二五円の骨材販売あっせん手数料を支払った。

以上の事実が認定でき、右認定に反する原告本人の供述は信用できず、その他右認定を覆すに足りる証拠はない。

(四)  右(二)及び(三)で認定された原告の行為は、正に事業所得の一部及び雑所得の全部を隠すべく偽り及び不正の行為を行ったものといえる。したがって昭和四七年分ないし昭和四九年分の本件各更正は前記国税通則法七〇条二項四号により五年の除斥期間内に行えば足りるので、右各年分の所得税の各法定申告期限からいずれも五年内に行われた右各年分の本件各更正は、その期間の制限に触れるものではない。

7  結び

以上の理由により、昭和四七年分ないし昭和五一年分の本件各更正はいずれもその所得金額の範囲内のものとして適法であると認められる。

三  昭和五二年分の本件更正の適法性について

1  原被告間に争いのない事実

被告の主張1項(二)(6)の事実(昭和五二年分の各所得金額)は、貸金業の事業所得金額及び分離長期譲渡所得金額を除き、当事者間に争いがない。

2  貸金業の事業所得金額

(一)  大和建材からの受取利子割引料収入前記二3(二)で判示のとおり前記乙第七号証の手形記入帳の記載内容は原告の大和建材に対する手形割引の方法による貸付の事実関係を示す資料として信用できるものであり、これを基に原告が大和建材から取得した受取利子割引料を推計する方法には合理性が認められる。

そして、右手形記入帳に基づき原告が昭和五二年度中に大和建材から受領した受取利子割引料を推計すると別表K―Ⅱの四記載のとおりとなる。

(二)  池田組からの受取利子割引料収入

(1) 前掲乙第一七号証、証人大塚安夫の証言によれば、右乙号証中の借入金明細表は、池田組の会計担当社員池田武が同会社の総勘定元帳に基づき、池田組が原告から昭和五二年中に手形割引の方法により貸付を受けた借入金、天引利息、割引手形の金額、振出人名及び支払日を表にまとめたものであることが認められる。

(2) 右認定に対し、原告は、池田組に対する貸付利率は日歩三銭の割合であった旨主張し、それに副う池田組の代表者の作成に係る甲第二一号証、同第二二号証を提出し、また原告本人の供述においても右主張に副う部分がある。

しかし、原告本人尋問の結果によれば、原告と池田組の代表者とは遠い親戚関係の間柄にあること、証人大塚安夫の証言によれば、池田武は、同人が被告の職員から原告の貸付利率につき反面調査を受けた際真実の貸付利率を応答したことに関して原告から苦情を受けたことがそれぞれ認められること、また原告には前記二6で判示したとおり貸金業を営むにつき所得隠しを行っていた事実があること、以上の点に照らすと右甲号各証の内容及び原告本人の供述はその信憑性につき疑いを抱かざるを得ない。他方乙第一七号証中の借入金明細表は池田組の商業帳簿である総勘定元帳に基づき作成されたものであることに鑑みると、右表の正確性は担保されているということができる。

(3) 以上の認定事実及び検討の結果によれば、乙第一七号証中の借入金明細表は原告の池田組に対する手形割引の方法による貸付の事実関係を示す資料として信用できるものということができ、これを基に原告が池田組から取得した受取利子割引料を推計する方法には合理性が認められる。

そして右表に基づき原告が池田組から昭和五二年中に受領した受取利子割引料を推計すると別表K―Ⅱの五記載のとおりとなる。なお、被告が主張する別表K―Ⅰの五の順号一八ないし二一の受取利子割引料については、各割引手形の支払日を認めるに足りる証拠がないので、結局右の受取利子割引料のうち昭和五二年度の収入になる受取利子割引料を推計することができない。

(三)  昭和五二年分の貸金業の事業所得に係る必要経費

昭和五二年分の貸金業における一般経費率及び特別経費の額は当事者間に争いがない。

(四)  まとめ

以上の認定に基づき原告の昭和五二年分の貸金業の事業所得金額を計算すると別表C―Ⅱ六記載のとおりとなる。

3  分離長期譲渡所得金額

(一)  原被告間に争いのない事実

分離課税の対象となる原告の昭和五二年度における不動産譲渡による収入金額、右譲渡不動産の取得費、譲渡費及び特別控除額が別表Eの順号<1>ないし<3>及び<5>のとおりであることは、当事者間に争いがない。

(二)  所得税法六四条二項の適用の有無(原告の主張について)

(1) 前記二(4)(三)(3)アで判示のとおり、原告は、大和建材の鉄建工機に対するインパクトブレーカーの売買代金債務につき連帯保証し、これについて鉄建工機に対し五七五万円を保証債務の履行として支払ったものであるが、原告本人尋問の結果によれば、原告は右金員を調達するため右(一)で認定した不動産を譲渡したものであることが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(2) 所得税法六四条二項は、保証債務を履行するために資産を譲渡し、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなったときはその部分の金額をその資産の譲渡による収入金額のうち回収することができないこととなった部分とみなして、その金額に対応する部分の金額は当該所得金額の計算上なかったものとみなされることを定めた所得計算に関する特則である。

しかし、大和建材に対する債権は、前記二4(一)(1)ウ(エ)で認定のとおり昭和五三年初め頃に回収不能となったものであるから、右求償権は昭和五二年中に行使できない状態になっていたということはできない。

してみると、原告の昭和五二年分の所得計算において右規定は適用される余地がない。

(三)  まとめ

以上の認定に基づき原告の昭和五二年分の分離長期譲渡所得金額を計算すると別表E記載のとおりとなる。

4  確定される所得金額

以上1ないし3によれば、原告の昭和五二年分の総合課税による総所得金額及び分離長期譲渡所得金額は別表B―Ⅳ記載のとおりとなり、同年分の本件更正は右の範囲内で行われたことが認められる。(なお、仮に原告の同年分の分離長期譲渡所得につき所得税法六四条二項の適用を受けると同所得金額は〇円となるが、原告には右所得の他総合課税による総所得金額が一〇二〇万〇三〇三円あり、これだけを対象にしても同年分の本件更正は右の範囲内で行われているものである。)

5  むすび

以上の理由により昭和五二年分の本件更正は所得金額の範囲内のものとして適法であると認められる。

四  本件各決定の適法性について

1  重加算税の賦課決定の適法性について

前記二6で認定した原告の行為は、昭和四七年分ないし昭和五一年分の各貸金業の事業所得及び雑所得について、被告の所得調査に対する偽りの答弁、取引先との通謀、帳簿類の不作成等不正な手段により故意に右所得を隠ぺいして申告したものと認められる。したがって、被告が原告に対し、昭和五九年法律五号による改正前の国税通則法六八条一項を適用し、前記二及び三で認定した別表B―Ⅱ記載の右各所得金額の範囲内で右規定に則り別表G、別表H及び別表I記載の計算方法により算出された右各年分の重加算税額についてした賦課決定は、いずれも適法であると認められる。

2  過少申告加算税の賦課決定の適法性について

前記二及び三で判示のとおり、原告には別表B―Ⅱ記載の昭和四七年分ないし昭和五一年分における各貸金業の事業所得及び雑所得並びに別表B―Ⅳ記載の昭和五二年分における分離長期譲渡所得が認められるのであるが、原告が右各所得を税額の計算の基礎としないことについて正当の理由がないことはこれまでの認定事実に照らし明らかである。したがって、被告が原告に対し、昭和五九年法律第五号による改正前の国税通則法六五条を適用し、前記二及び三で認定した右各所得金額の範囲内で右規定に則り別表J及び別表F記載の計算方法により算出された右各年分の過少申告加算税額についてした賦課決定は、いずれも適法であると認められる。

五  結論

以上の判示によれば、本件各更正及び本件各決定は結論において全て適法であるから、原告の本訴請求はいずれも理由がない。よって、原告の本訴請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山中紀行 裁判官 西野喜一 裁判官 青野洋士)

別紙

手形目録

手形番号 O二六九九三

金額   三〇万円

満期日  昭和四七年二月五日

振出日  昭和四七年一月五日

振出人  有限会社小林自動車商会

受取人  庭野兼作

所持人  原告

別表A 課税処分等の経緯

一 昭和四七年

<省略>

(注) 右所得金額は、総所得金額と分離譲渡所得金額の合計額である。

(以下同じ)

二 昭和四八年分

<省略>

三 昭和四九年

<省略>

四 昭和五〇年

<省略>

五 昭和五一年分

<省略>

六 昭和五二年分

<省略>

(注) 「税額」欄の外書△二一、〇〇〇円は特別減税額である。

別表B-Ⅰ

<省略>

別表B-Ⅱ

<省略>

別表C―Ⅰ

貸金業の事業所得金額

以下においては、株式会社第四銀行を「第四銀行」、株式会社北越銀行を「北越銀行」、新潟県信用組合を「県信」、有限会社大津建設を「大津建設」、株式会社大和建材を「大和建材」、米山寿太郎を「米山」、有限会社池田組を「池田組」という。

一 〔昭和四七年分〕

<省略>

<1>収入金額四三六万〇〇八〇円は、大津建設からの受取利子割引料一五二万二四二〇円と大和建材及び米山からの受取利子割引料二八三万七六六〇円との合計額である。

<3>一般経費三五万九七〇七円は、昭和四七年分の同業者の売上金額に対する一般経費の額の割合(以下「一般経費率」という。)の平均を求め、原告の同年分の収入金額四三六万〇〇八〇円に右平均率八・二五パーセントを乗じて算出したものである。

<4>特別経費四六万六三七九円は、第四銀行六日町支店、北越銀行六日町支店及び県信六日町支店に対する支払利子割引料四四万六三七〇円並びに建物減価償却費二万〇〇〇九円の合計額である。

* 収入金額の明細は別表K―Ⅰ参照

二 〔昭和四八年分〕

<省略>

<1>収入金額二八二万一九七八円は、大津建設からの受取利子割引料一九九万一一六〇円と大和建材及び米山からの受取利子割引料八三万〇八一八円との合計額である。

<3>一般経費二五万七九二九円は、昭和四八年分の同業者の売上金額に対する一般経費率の平均を求め、原告の同年分の収入金額二八二万一九七八円に右平均率九・一四パーセントを乗じて算出したものである。

<4>特別経費七七万三四〇〇円は、第四銀行六日町支店、北越銀行六日町支店及び県信六日町支店に対する支払利子割引料七五万三三九一円並びに建物減価償却費二万〇〇〇九円の合計額である。

* 収入金額の明細は別表K―Ⅰ参照

三 〔昭和四九年分〕

<省略>

<1>収入金額四四一万一三五一円は、大津建設からの受取利子割引料一九万九八〇〇円と大和建材及び米山からの受取利子割引料三七九万一〇五一円との合計額である。

<3>一般経費五一万六一二八円は、昭和四九年分の同業者の売上金額に対する一般経費率の平均を求め、原告の同年分の収入金額四四一万一三五一円に右平均率一一・七パーセントを乗じて算出したものである。

<4>特別経費三一〇万四〇一一円は、第四銀行六日町支店、北越銀行六日町支店及び県信六日町支店に対する支払利子割引料三〇八万四〇〇二円並びに建物減価償却費二万〇〇〇九円の合計額である。* 収入金額の明細は別表K―Ⅰ参照

四 〔昭和五〇年分〕

<省略>

<1>収入金額九四六万一一五三円は、大和建材及び米山からの受取利子割引料の合計額である。

<3>一般経費八八万六五一〇円は、昭和五〇年分の同業者の売上金額に対する一般経費率の平均を求め、原告の同年分の収入金額九四六万一一五三円に右平均率九・三七パーセントを乗じて算出したものである。

<4>特別経費二二七万四九九〇円は、第四銀行六日町支店、北越銀行六日町支店及び県信六日町支店に対する支払利子割引料二二五万四九八一円並びに建物減価償却費二万〇〇〇九円の合計額である。* 収入金額の明細は別表K―Ⅰ参照

五 〔昭和五一年分〕

<省略>

<1>収入金額一四〇四万七三九一円は、大和建材及び米山からの受取利子割引料の合計額である。

<3>一般経費一四〇万七五四九円は、昭和五一年分の同業者の売上金額に対する一般経費率の平均を求め、原告の同年分の収入金額一四〇四万七三九一円に対する右平均率一〇・〇二パーセントを乗じて算出したものである。

<4>特別経費三二二万三五八五円は、第四銀行六日町支店、北越銀行六日町支店及び県信六日町支店に対する支払利子割引料三二〇万三五七六円並びに建物減価償却費二万〇〇〇九円の合計額である。* 収入金額の明細は別表K―Ⅰ参照

六 〔昭和五二年分〕

<省略>

<1>大和建材及び米山からの受取利子割引料一六五万九八九九円と池田組からの受取利子割引料二〇五万四八六五円の合計額である。

<3>一般経費三五万九九六〇円は、昭和四七年分ないし昭和五一年分の各年分ごとに求めた同業者の売上金額に対する一般経費の額の割合(一般経費率、昭和四七年分八・二五パーセント、昭和四八年分九・一四パーセント、昭和四九年分一一・七〇パーセント、昭和五〇年分九・三七パーセント、昭和五一年分一〇・〇二パーセント)を平均して、その平均値九・六九パーセントを求め、右平均値を<1>の収入金額三七一万四七六四円に乗じて算出したものである。

<4>特別経費一一六万二七三六円は、第四銀行六日町支店、北越銀行六日町支店及び県信六日町支店に対する支払利子割引料一一四万二七二七円並びに建物減価償却費二万〇〇〇九円の合計額である。* 収入金額の明細は別表K―Ⅰ参照

別表C―Ⅱ

認定される貸金業の事業所得金額

一 〔昭和四七年分〕

<省略>

二 〔昭和四八年分〕

<省略>

三 〔昭和四九年分〕

<省略>

四 〔昭和五〇年分〕

<省略>

五 〔昭和五一年分〕

<省略>

六 〔昭和五二年分〕

<省略>

別表D

雑所得金額

以下においては、株式会社大和建材を「大和建材」、株式会社気工社を「気工社」、鉄建工機株式会社を「鉄建工機」、佐野生コン工業株式会社を「佐野生コン」、有限会社川上リースを「川上リース」、合資会社条栄商事を「条栄商事」という。

一 〔昭和四八年分〕

<省略>

<1>収入金額四二四一万円は、原告が大和建材から気工社製砂利砕石プラントBP―一五〇一式(以下「砂利砕石プラント」という。)のリース料として受領した合計額四二〇〇万円並びに昭和四八年一二月一五日に気工社から受領した砂利砕石プラントにかかる販売手数料四〇万円及び昭和四八年七月二八日に鉄建工機から受領した販売手数料一万円の合計額である。

<2>必要経費二九四〇万円は、原告が鉄建工機に支払った砂利砕石プラントの購入代金二九四〇万円(金利二七〇万円を含む。)である。

二 〔昭和四九年分〕

<省略>

<1>収入金額二一〇万六五二五円は、鉄建工機、佐野生コン及び川上リースからのあっせん手数料収入等の合計額であり、内訳は次のとおりである。

a 鉄建工機から部品リベートとして昭和四九年七月二四日に一四万円、同年九月三〇日に一三万一三〇〇円を各受領した。

b 原告は、大和建材が佐野生コンへ骨材を納入するにつき、佐野生コンから骨材販売のあっせん手数料とし納入骨材一立方メートル当たり昭和四九年八月から五〇円、同年一〇月から一〇〇円の割合で次のとおり受領した。

<省略>

c 川上リースから昭和四九年九月ないし同年一二月の間に金融相談料とし毎月二〇万円ずつ四回にわたり合計八〇万円を受領した。

三 〔昭和五〇年分〕

<省略>

<1>収入金額一六七二万二四〇〇円の内訳は次のとおりである。

a 原告が、鉄建工機から気工社製インパクトブレーカーNKB―一二〇型一基(以下「インパクトブレーカー」という。)を買い入れ、昭和五〇年七月三一日に大和建材に代金一二〇〇万円で売却した。

b 大和建材と佐野生コンとの間の骨材納入取り引きのあっせん手数料とし、昭和四九年と同様に以下のとおり佐野生コンから一九万九六〇〇円、佐野生コンの子会社であり、昭和五〇年二月から右取引を引継いでいる条栄商事から二七七万二八〇〇円を受領した。

佐野生コン 条栄商事

受領年月日 金額(円) 受領年月日 金額(円)

50・1・23 一六六、四五〇 50・2・24 二〇三、七〇〇

50・2・24 三三、一五〇 50・3・24 二九九、三五〇

計 一九九、六〇〇 50・4・23 三〇四、六〇〇

50・5・23 二三九、九〇〇

50・6・23 二九二、一五〇

50・7・23 二六五、〇五〇

50・7・23 三〇五、〇〇〇

50・8・23 二二六、九五〇

50・10・23 二三〇、一五〇

50・11・23 二二五、九五〇

50・12・23 一八〇、〇〇〇

計 二、七七二、八〇〇

合計 二、九七二、四〇〇

c 原告は昭和五〇年に大和建材からパワーシャベルの賃貸料として一七五万円を受領している。

<2>必要経費九七一万四〇〇〇円は、原告が鉄建工機から購入したインパクトブレーカーの購入代金九七一万四〇〇〇円(金利七一万四〇〇〇円をふくむ。)である。

三 〔昭和五〇年分〕

<省略>

四 〔昭和五一年分〕

<省略>

<1>収入金額三一二万八三〇〇円の内訳は次のとおりである。

a 原告は、自己所有地から大和建材が砕石用の原石を採取した原石採取料とし昭和五一年九月五日に大和建材から一〇〇万円(手形)を受領した。

b 大和建材と条栄商事との間の骨材納入取引のあっせんをした手数料として、昭和四九年、昭和五〇年と同様に条栄商事から以下のとおり八七万八三〇〇円を受領した。

受領年月日 金額(円)

51・1・30 一〇七、〇〇〇

51・2・23 七七、四〇〇

51・3・24 一六四、一〇〇

51・4・23 一五六、六〇〇

51・5・24 七五、八五〇

51・6・23 一〇九、七〇〇

51・7・24 一〇四、三五〇

51・8・25 八三、三〇〇

計 八七八、三〇〇

c 原告は昭和五一年に大和建材からパワーシャベルの賃貸料とし一二五万円を受領した。

別表E

昭和五二年分の分離課税における長期譲渡所得

<省略>

<1>収入金額七〇〇万円は、原告が昭和五二年一一月一八日に魚沼廃棄物興産株式会社に対し、左記土地を売り渡したときの譲渡金額である。

<2>取得費二〇〇万円は、原告が昭和四二年六月二〇日に上村政義ほか一名から左記土地を買い入れたときの購入代金一〇〇万円及び整地費用一〇〇万円の合計額である。

<3>特別控除額一〇〇万円は、租税特別措置法三一条二項に規定する特別控除額である。

(1) 新潟県南魚沼郡大和町大字海士ケ島新田字内原二四〇番一

原野 三八三平方メートル

(2) 同所二四〇番四

原野 一九二平方メートル

(3) 同所二六〇番

山林 一一三〇平方メートル

(4) 同所二六一番

原野 二〇三二平方メートル

別表F

昭和五二年分の税額(更正及び賦課決定)

<省略>

別表G 重加算税対象所得金額

一 〔昭和四七年分〕

<省略>

二 〔昭和四八年分〕

<省略>

三 〔昭和四九年分〕

<省略>

四 〔昭和五〇年分〕

<省略>

五 〔昭和五一年分〕

<省略>

別表H 重加算税の基礎となる税額

(<11>のA-<11>のB)

一 〔昭和四七年分〕二七万二〇〇〇円

<省略>

(注) <4><5>の金額は、国税通則法一一八条一項により一〇〇〇円未満の端数を切り捨て、<11>の金額は、同法一一九条一項により一〇〇円未満の端数を切り捨てて計算した。

以下別表Hにおいて同じ。

二 〔昭和四八年分〕六六二万三〇〇〇円

<省略>

三 〔昭和四九年分〕四五万円

<省略>

四 〔昭和五〇年分〕三〇八万二〇〇〇円

<省略>

五 〔昭和五一年分〕三二九万五〇〇〇円

<省略>

別表I 重加算税額の計算表

<省略>

<1>の金額は、国税通則法一一八条三項により一〇〇〇円未満の端数を切り捨てて計算したものである。

<2>の金額は、国税通則法一一九条四項により一〇〇円未満の端数を切り捨てて計算したものである。

別表J 過少申告加算税額の計算表

<省略>

<1>の金額は、国税通則法一一八条三項により一〇〇〇円未満の端数を切り捨てて計算したものである。

<2>の金額は、国税通則法一一九条四項により一〇〇円未満の端数を切り捨てて計算したものである。

別表K-Ⅰ

受取利子割引料の明細表

「振出人又は裏書人」及び「支払銀行」の略語例

◎「振出人又は裏書人」

日出三又はリース:川上リース株式会社

観音堂:有限会社観音堂

川上又は建設:川上建設合資会社

小杉:小杉信治

プロ:米山良忠又は魚沼プロパン商会

大和:大和建材株式会社

米山:米山寿太郎

安藤:合資会社安藤建設

服部:服部義

嘉、魚沼建販又は建販:米山嘉繁

南永:南雲永雄

◎「支払銀行」

信組:新潟県信用組合(小出支店、六日町支店、大和町支店)

北小:北越銀行小出支店

北大:北越銀行大和町支店

大光:大光相互銀行六日町支店

第四:第四銀行六日町支店

新相:新潟相互銀行

別表K-Ⅱ

認定される受取利子割引料の明細表

略語例は別表K-Ⅰと同じ

別表K-Ⅰ 一、大津建設からの受取利子割引料の明細表

<省略>

別表K-Ⅰ 二、米山及び大和建材からの受取利子割引料の明細地 その1

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ 三、米山及び大和建材からの受取利子割引料の明細表 その2

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-Ⅰ

<省略>

別表K-一

<注>(1) 順号「六二」について

大和建材は、新潟市西堀通三所在の同和商事から昭和四八年頃以来借入をしており、昭和五〇年六月頃には借入金残額合計四八八万円及び遅延利息五二万円の債務があったが、これを原告に肩代わりしてもらう見返りに、原告に対し次の手形(手形金額合計七五〇万円)を交付した。

<省略>

大和建材は右手形のうち、順号1、2及び4については昭和五〇年一二月三一日に決済し、順号3については同年同月二五日に決済している。

したがって、右手形決済金七五〇万円と原告が肩代わりした五四〇万円との差額二一〇万円を原告の昭和五〇年分の収入金額(受取利子割引料)として計上した。

<注>(2) 順号「六三」について

米山及び大和建材は、昭和五一年九月頃条栄商事から一五〇〇万円の資金を融資してもらえることになり、原告に対し、右金員をもって同年一〇月一五日現在における原告からの借入金を一部返済した。その際原告は、同年同月一六日以降の利子割引料分(未経過分)及び同日以前の利子割引料の値引分の合計額である二三〇万五〇〇〇円を差し引いて精算したため、右金額を収入金額から減算した。

別表K-Ⅰ 四、米山及び大和建材からの受取利子割引料の明細表 その3

<省略>

別表K-Ⅰ 五、池田組からの受取利子割引料の明細表

<省略>

別表K-Ⅰ 一、大津建設からの受取利子割引料

<省略>

別表K-Ⅱ 二、米山及び大和建材からの受取利子割引料の明細表 その1

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ 三、米山及び大和建材からの受取利子割引料の明細表 その2

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ

<省略>

別表K-Ⅱ 四、米山及び大和建財からの受取利子割引料の明細表 その他

<省略>

別表K-Ⅱ 五、池田組からの受取利子割引料の明細表

<省略>